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アメリカでは徴兵制度復活か?−徴兵制度を考える

 ちょっと物騒なタイトルですが、今日は"徴兵制度"についてアメリカのニュース記事から考えてみましょう。

 徴兵制度とは、本人の意思にかかわらず国家が強制的に兵役の義務を国民に課す制度のことです。アメリカではベトナム戦争終結が近づいた1974年以降の徴兵は、ロシアによるアフガニスタン侵攻の際の一時期を除き行われておらず、事実上徴兵制度は廃止となりました。現在、全ての軍隊は本人が入隊を希望した"志願兵"により成り立っています。しかし今アメリカの議会では、徴兵制度を復活させようという議論が熱を帯びてきているそうです。

 徴兵制度は事実上廃止された格好の現在のアメリカですが、選抜徴兵登録制度(Selective Service System)という制度は残ったままです。この制度は1917年に制定されたもので、18才以上25歳以下の男性は基本的に全員が登録しなければなりません。違反者には懲役または罰金刑が課せられます。つまり制度自体が完全になくなっていたわけではないので、アメリカ政府はいつでも徴兵を再開することが可能だとする見方もあります。

続きはこちら→


 多くの国民は徴兵制の復活に反対していますし、この法案が議会に提出されてもおそらく通らないだろうと言われていますが、それでもこんな議論が持ち上がる背景にはイラク戦争で志願兵が集めづらくなることが予想されるという観測があるようです。

 軍隊への入隊希望者数は世相に大きく影響されます。例えば1941年の日本軍のパールハーバー奇襲攻撃や、2001年のアメリカ同時多発テロ事件の直後には、志願兵として軍への入隊を希望する人が殺到しました。「国や家族を守るために戦いたい!」という強い感情が生まれるためでしょう。

 逆に1960年〜75年のベトナム戦争や今回のイラク戦争のように長期化・泥沼化し、出口が見えなくなっている状態を見せつけられると、若者たちは「何のための戦いなのか?」という疑問を感じ、志願兵として戦争に行くことをためらうのでしょう。ただし現在のところ、志願兵として軍へ入隊を希望する人の数が急激に減っているということはないようです。

 日本でもイラク戦争への自衛隊派遣が決定後、多くの入隊予定者が辞退するという現象が起こったそうです。

 世界では現在も徴兵制度を実施している国がたくさんあります。韓国・ドイツ・ロシア・スイス・イスラエルなどがそうです。アメリカが徴兵制度を復活させるかどうかはわかりません。ただもうこれ以上、世界中の若者が無益な戦争で命を落とすのは見たくありません。

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核を持つ国、軍を持たない国

↓今日の記事の参照サイト
CNN(ニュースソース)
ウィキペディア(Selective Service System:英語版)
ウィキペディア(徴兵制度:日本語版)

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atglobeの投稿(20:43:42-2006-11-22) - カテゴリ: Think Global TrackBacks

コメント

ちゃめ wrote:

 徴兵制の復活ですか?
 もっと平和に生きられないのかなぁ?
 
2006-11-23 17:02:53

Ben Hattori wrote:

こういうニュースを聞くと、やっぱりもう「戦後」じゃなくて、「戦前」に入ってきてるのか、と思ってしまいます。
ただ、先の米国中間選挙で野党の民主党が、両院議会で多数派を占めたので、本当に復活が実現するかどうか、やや不透明な気配も感じますが。
ただ、どうでしょう。徴兵復活までいかなくても、志願兵本人・家族への経済的な優遇措置を一段と向上させて、新兵を集めるようなことはやるかも知れませんね。たとえば、奨学金に限らず納税の大幅な優遇・免除、恩給の引き上げとか。
まさに、アンクル・サムが見る人を指差してる、"WE WANT YOU!"のポスターそのものだな・・・。
2006-11-23 20:02:26

ちゃめ wrote:

横入りスイマセン。

>たとえば、奨学金に限らず納税の大幅な優遇・免除、恩給の引き上げとか。
 映画『スターシップ・トゥルーパーズ』の世界みたいですね。
(軍に入らないと市民権が無いという世界を背景にした作品です)
 SF作家の想像力って、たまに怖くなりますね。
2006-11-23 20:59:22

atglobe wrote:

To ちゃめさん
To Ben Hattoriさん

>民主党が、両院議会で多数派を占めたので、本当に復活が実現するかどうか…
残念ながら、この議論を起こしているのは民主党の議員たちなのです。いずれに
しても日本の核保有問題と同様、現状ではアメリカ世論がそれを許さないとは
思いますが…。

>たとえば、奨学金に限らず納税の大幅な優遇・免除、恩給の引き上げとか…
ちゃめさんが指摘された映画は見ていませんが、なんだか現実と空想の世界の
区別がつかなくなってしまいますよね。

最近日本のニュースでは「愛国心」という言葉が頻繁に登場してきます。

愛国心とはなんでしょうか?

自国の郷土と同胞である自国民を愛する心、といったことでしょうか。
しかし同時に、それを脅かすものを「敵」として憎む心、でもあるように思い
ます。
アメリカ国民にとってはテロリストやそれを支援する全ての国家は敵であり、
同様にテロリストと呼ばれる人たちにとっては、自分たちのこれまでの生活を
脅かすアメリカなどの資本主義が敵なのでしょう。

愛国心を育てること=敵を憎む心を育てること、なのであれば、そんな教育は
歓迎しません。
2006-11-24 09:56:59

Ben Hattori wrote:

「ピュアな愛国主義と偏狭な国粋主義はまったく別のものなのに、今の日本人は多くの人が混同してる」という日本在住の外国の方のコメントを、新聞で読んだことがあります。
「自分の家族を愛している理由は、自分の家族だから愛しているのであって、別の家族より優れてたり裕福だから愛してるわけじゃない。これは国の場合も同じはず」だと。
まったく、そのとおりだと思いました。
2006-11-24 14:17:37

ちゃめ wrote:

 atglobe さんや Ben さんと同様に、私も昨今の「愛国心」に違和感を持っています。
「愛国心を育てる」ことを法律で明記する事自体、どこかがおかしいと思います。
「愛する」という行為は、人から強制されるものではなく、自発的なものだと思います。
 愛情に見返りを求めないのと同様に、「愛する」という行為は自由であるべきだと思います。
 他人から命じられて愛するのは、苦痛です。
「国を愛せ」というなら、愛したくなるような国や社会を作るのが先だと思います。
 おーい、A さん、聞いてるかーい?
2006-11-24 23:05:44

atglobe wrote:

To Ben Hattoriさん
To ちゃめさん

お二人のご指摘の通り、本当の意味での愛国心は人々の心に自然と芽生えてくる
ものなのでしょう。
Benさんが紹介してくださった外国人の方のコメント、「自分の家族を愛している
ように自分の郷土(国)を愛する気持ち」、その延長線上には「この地球に住む全て
の人々を愛する気持ち」があると信じたい、と思います。
2006-11-27 09:26:22

Ben Hattori wrote:

> その延長線上には「この地球に住む全ての人々を愛する気持ち」があると信じたい、と思います。

なるほど。愛「国」心ならぬ、愛「星」心ですね。これはいい!
今世紀は、これで生きましょう!!
2006-11-27 16:13:59

atglobe wrote:

To Ben Hattoriさん

人間の集団が結束するためには、外に"強い敵(脅威)"が存在する必要がある、
という考え方があります。これは家族や企業、国などどんな集団でも同様です。
テロ事件によって一時的にアメリカ国民の感情が一つになったのもその一例と
言えるでしょう。
「敵」というわけではないですが、「脅威」という意味では地球環境の破壊は、
地球に住む人類を含めた全ての生物にとって十分すぎるほどなのでは、と思って
います。
でもこれだけでは結束できないのであれば、やはり映画「インディペンデンス・
デイ」で描かれた宇宙人の来襲のような、切迫した「外敵」が現れないとだめ
なのかな?と思ったりもします。
2006-11-29 09:54:03

Ben Hattori wrote:

> 人間の集団が結束するためには、外に"強い敵(脅威)"が存在する必要がある、という考え方があります。これは家族や企業、国などどんな集団でも同様です。

ちなみに、このやり方を親子二代にわたって世界で最も徹底しておしすすめ、
つい先日、理論物理学に基づいた大量破壊兵器の開発に成功したと
誇らしげに吹聴している「ある国」と、
それに太刀打ちすべく同様の武装を考えるべきと唱える、
戦争を知らない世代の政治家が出てきた「ある国」を、私は知っています・・・。

ジョン・レノンだったか、オノ・ヨーコだったか、
ただやみくもに「NO」と叫びあうのではなく、
みんなで一緒に「YES」といおう、
といっていたのを思い出します。
つまり、「愛」ですね、やっぱり。
2006-11-29 20:36:08

atglobe wrote:

To Ben Hattoriさん

Benさんが指摘された、後者のほうの「ある国」では総務庁の省への格上げが
決定しましたね。その国の国会では民主党も賛成に回り、実にすんなりと
法案が可決されたようです。
この先、憲法9条の改定、自衛隊の名称変更および活動範囲の広範化、防衛費の
増加、そして…と、進んでしまうのでしょうか?

人間の心にある「愛」は地球を救えるか?
争いの絶えない世の中ですが、「愛」を信じて平和を願う人たちはきっと世界中
にたくさんいるはずです。
2006-12-01 09:38:41

通りすがり wrote:

この徴兵制を提出した人物が普段どのような発言をしていたか調べるととても面白いですよ。
ランゲル議員という名前でググってみましょう
2007-04-13 10:18:06

atglobe wrote:

To 通りすがりさん

コメントありがとうございます。

おっしゃるとおり、この議論を起こしている中心的人物は民主党の
ランゲル議員です。
様々な運動に参加し、あちこちで物議をかもす発言をすることで有名
ですよね。
2007-04-16 10:35:23

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