At-Globe

"I have a dream" − 心を揺さぶる演説

 イランの核開発問題、イスラエルと近隣のアラブ系(イスラム系)民族との衝突など、先行きが心配される問題が山積の中東情勢ですが、そんな中、サウジアラビアのジェッダでは"Economic Forum:経済フォーラム"が開催されています。

演説するラーニア王妃(Arab Newsより)

フォーラムの初日、ヨルダンのラーニア王妃による演説が行なわれました。中東諸国の技術革新や経済発展の必要性が演説のテーマでしたが、ラーニア王妃は演説の大部分の時間を割いて「それを実現するためには宗教の壁を越えた"相互理解"が不可欠である」と訴えました。

続きはこちら→


 以下、ラーニア王妃の演説の一部分をご紹介します。

「近年のサウジアラビアでは、教師、医師、技術者やジャーナリストなど、女性の社会進出が目ざましくなってきました。私たちアラブ人にとって誇らしいことですが、西洋人にはあまり歓迎されていません。

明日の世界は私たちが想像するほど繁栄していないかもしれません。なぜなら今日の地球は暴力や虐待、そして恐怖によって汚染されているからです。

私たちの世界では偏見が広がっており、実際に体験したり相手と直に接した経験からではなく、"ラベル"(見た目、人種)で他人を判断しています。

アラブ人がアメリカに批判的なのは、アメリカの中東政策への理解が不足しているためではなく、その政策が誤っているからです。もし中東に住む人々の信頼を得たいと思うならば、戦争ではなく平和をもたらすような平等で公正な政策が必要です。

しかし私たちアラブ人同士がイスラム教の宗派間の争いを続ける限り、西洋人に私たちを理解して欲しいというのは難しいでしょう。

私たちは多くの子供たちを授かった父であり母です。私たちは子供たちの住む未来のために何を残してやれるでしょうか。未来に花咲く"希望の種"を蒔いていると胸を張って言えるでしょうか。私たちは本当に技術の進歩と世界の平和に貢献していると言えるのでしょうか。

私たちの未来を決めるのは私たち自身です。みんなの勇気を結集しなければなりません。それを実現するためにこのジェッダの地ほど最適な場所はありません。全ての人種、肌の色、国籍の人が集まっていて、その上イスラムの慈悲や共感、謙遜、慈善、寛容、そして平和への祈りがここにはあります。」

そしてラーニア王妃は、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の言葉を引用してこう締めくくりました。

「いつの日か全ての人が、自身の安定や名声のためではなく、自分の良心で考え正しいと思ったことのために行動する時代がやってくる。」

キング牧師といえば1963年、アメリカの黒人差別に反対し行なった"I have a dream:私には夢がある"という演説が有名です。
その一節をご紹介しましょう。

"I have a dream that one day on the red hills of Georgia the sons of former slaves and the sons of former slaveowners will be able to sit down together at a table of brotherhood."
「私には夢がある。いつかジョージアの丘で、かつて奴隷だった人の子孫たちと、奴隷主だった人の子孫たちが一つのテーブルを囲む、そんな日がきっとやって来る…」

キング牧師はこの演説を行なった5年後に暗殺されてしまいましたが、この反対運動はアメリカの多くの人々の心を動かしました。

ところで、「テロリズムを許さない」、「アメリカの自由を守る」と繰り返すブッシュ大統領の演説はなぜか心に響きません。

その理由は、ラーニア王妃やキング牧師の演説にはある「相互理解の必要性」そして「互いの繁栄」という信念が、大統領の演説からは全く感じられないからなのかもしれません。

最後にキング牧師の言葉で締めくくりましょう。

「人は兄弟姉妹として共に生きていく術を学ばなければならない。さもなくば、私たちは愚か者として滅びるだろう。」

↓At-Globe内の関連記事
アメリカの学校事情−今日のニュースから
イスラム教徒の気持ちを感じてみよう

↓今日の記事の参照サイト
Arab News(ニュースソース)
World Wide School("I have a dream"演説の全文紹介)

ブログランキング・にほんブログ村へ人気ブログランキング←この記事に一票

「人種問題に関するニュース」カテゴリの他の記事も見てみる
At-Globeのブログ最新の記事も見てみる
atglobeの投稿(17:17:03-2007-02-26) - カテゴリ: 人種問題に関するニュース TrackBacks

コメント

ちゃめ wrote:

いい記事ですね!
マーティン・ルーサー・キングJr.の "I have a dream"の演説。
とても好きです。
まるで歌うような演説ですよね。
2007-02-26 22:06:05

atglobe wrote:

To ちゃめさん

この演説は心に響いてきますよね。
キング牧師の演説が行われたリンカーン・メモリアル前の広場は、
映画フォレスト・ガンプの中の反戦デモ演説の場面でも使われて
いました。

"I have a dream"の演説を見たい(聴きたい)方はこちらのサイトへ
↓(YouTubeでご覧いただけます)
http://www.americanrhetoric...
2007-02-27 14:41:04

Ben Hattori wrote:

言う人の中に、ハートがあるのか。
それともハートがなくて、ただ言葉を並べてるだけなのか。
同じ内容を話しても、それ次第で聴く側の印象が違うことがあります。
ブッシュ氏などは、スピーチライターが用意した内容を、
極めて上手に再生しているクチなのでしょう。
おっと、我が国の国会議員もそうだったりして(スピーチライターでなく官僚が?)。

キング牧師の演説は、いいですね。
名演説の条件とはケネディやリンカーンも然りで、
「わかりやすい言葉で深い内容を簡潔かつ印象的に伝えること」。
でも、この条件はどの国の言語でも、
そして普段日常で使う言葉でも、あてはまりそうです。
ハートのない人が難しい言葉を駆使して並べても、
受け手の心まで内容が届かずに終わりますから。
2007-02-27 19:49:19

atglobe wrote:

To Ben Hattoriさん

>言う人の中に、ハートがあるのか…
>わかりやすい言葉で深い内容を簡潔かつ印象的…
確かにハートですよね。言葉って。
心に響いてくるのはそのためなのでしょう。
そしてわかりやすい言葉…、これにも賛同します。
キング牧師の演説は、誰にでもわかりやすい言葉で語られています。
難しい言葉を並べると、なんだかこの人はすごいことを言っているのでは?
という風に感じることはあっても、決して心には響きませんから。

難しい言葉と言えば、安倍内閣は難しい外来語を多用すると評判ですよね。
ホワイトカラー・エグゼンプションとか。
彼らは国民に自身の信念を訴えようとしているのではなく、響きのきれいな
外来語を駆使して"いかにして国民を煙に巻くか"に焦点を置いているのかも
しれませんね。
2007-02-27 21:33:55

コメントを追加

:

:

トラックバック

TrackBack URL